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NTAA 国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)加盟 日本テクニカルアナリスト協会 特定非営利活動法人(NPO法人)

テクニカルの特徴

株式が持つ本質的な価値に注目するファンダメンタルズ分析に対して、テクニカル分析は、価格が投資者の判断によって形成されることに注目する分析手法です。

例えば、ある銘柄の現在の株価水準について、買えば利鞘が期待できるくらい割安だと多くの投資者が考えたとすると、その銘柄は買い進まれて、割安感が薄れる水準まで価格が上昇することが予想されます。逆に、割高で空売りすれば利鞘が期待できると考えられる場合には売り込まれて、割高感が薄れる水準まで価格が下落することが予想されます。

このように、価格推移は投資者の投資行動に起因して生じており、その投資行動には投資者の投資判断が反映されている筈です。つまり、株価と売買高の推移には、投資者の投資判断が記録されていることになります。

従って、ある銘柄の株価と売買高を詳しく調べれば、多くの投資者がその銘柄を割高と見ているのか割安と見ているのかを知ることができ、付随してその後の価格推移も予想できるのではないか、それに沿って投資をすれば利益を上げることができるだろう、という発想に基づいて考案された分析手法がテクニカル分析です。

 

handbook1-kiso テクニカル分析 ハンドブック1(基礎編)は、

資産運用に際しての「テクニカル分析」の導入部分を分かり易く説明することを目的にしています。

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2014年12月発刊

handbook2-syokyu1 テクニカル分析 ハンドブック2(初級編①)は、

上記基礎編に続いて一歩進め、テクニカル分析とは何かについてさわりの部分を解説しています。

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2016年4月発刊

TAHandbook3 テクニカル分析 ハンドブック3(初級編②)は、

上記初級編①に続いてさらに進め、テクニカル分析とは何かについてさわりの部分を解説しています。

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2017年6月発刊

テクニカル分析 ハンドブック4(用語集)は、テクニカル分析全般の用語集です。

現在無料配布中!(送料も無料です。)

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2018年10月発刊

テクニカル アナリスト ジャーナル Technical Analysts Journal  ©NTAA

 当協会は、不特定多数の市民、団体に対し、高齢化社会での資産の効率管理の必要性増大に対応するため、証券投資等におけるテクニカル分析理論の教育普及活動を行う。またテクニカル分析理論の向上、およびテクニカル分析業務に従事する者の育成を図ることにより、健全な投資活動および経済活動の発展に寄与することを目的としています。その目的達成の一助として当協会の会員向けに「テクニカルアナリストジャーナル」を発行していますが最新号以前の既刊については、テクニカル分析理論の向上にお役立ていただきたく会員以外にも閲覧できるようにしました。本書の文章や図表は、特定非営利活動法人日本テクニカルアナリスト協会および執筆者が著作権を有しています。本書の内容は、すべて著作権法により保護されています。目的や方法を問わず、本著作物の全部または一部を無断で複製、転載、転送することを禁止します。


◆Vol.8 2021年9月発行

特集
アフターコロナのマーケットとテクニカル手法
アフターコロナ相場で期待されるKチャートの投資効果
「往来相場の小波狙い」と「ブレイクアウト追随」はどちらが有利か
日本テクニカルアナリスト協会
理事長 古城 鶴也
一目均衡表で見た日経平均・商品・米国債・為替の長期予測
コロナ禍が促した「潮流の大転換」
SMBC 日興証券 株式調査部
チーフテクニカルアナリスト
吉野 豊
暗号資産市場の概要と新たなる投資手法の試み
~自然言語処理を用いた暗号資産価格の予測~
IU アセットマネジメント
代表取締役 新見 明弘
IFTA講演・寄稿論文 先が見通せない世界情勢の中で、我々はビットコインに着目するべきだろうか?

今回の発表では、①コロナ、②異常気象、③世界中にある対立の構図、という不安定な市場環境下で「ビットコインという新しい市場に対して着目する必要があるのか」について話した。結論から先に記せば「今こそ、ビットコインについて着目すべきタイミング」ということである。講演の内容は、1.最初に現在の市場環境について、株式市場、為替市場、商品市場、そして仮想通貨であるビットコイン市場の値動きを確認している。次に2.多くの市場参加者が誤解している点を取り上げ、その誤解について著者の見方を説明する。そして最後に、3.AI を使ったビットコイン市場の分析手法の紹介と、過去2018 年のマレーシア大会でのチャートがその後どうなったかのフォローアップに対する見方についてコメントしている。過去の値動きに対する解説ではなく今後を見据えるために、われわれはいま一度、ビットコインのテクニカル分析について考えてみる必要があるのではないか。

シーエムディーホールディングス
代表取締役 尹 煕元
日本の投資信託のパフォーマンスに関する時系列分析
〜資金フローとリターンに着目した考察〜

日本では、これまで「貯蓄から資産形成へ」の流れを促すためにさまざまな制度改正が行われてきた。欧米に比べて日本の家計の金融資産に占める「現金・預金」の比率はまだ高い状況にあるが、高齢化社会における老後資金の備えのために自助による資産形成の重要性は徐々に浸透してきており、資産形成の手段として「長期、積立、分散」投資が簡単にできる投資信託が果たす役割はますます大きくなると考える。そこで、今回は近年の日本のオープン投信の大きな流れについて確認した後、オープン投信の資金フローとリターンに着目し、時系列分析の手法を用いて日本のオープン投信全体と商品分類別に分析した。純資産総額を基準価額と口数に分解し、基準価額の騰落率と口数の変化率の関係を検証したところ、前月や当月の基準価額の騰落率が当月の口数に与える影響についての説明力がおおむね高かった。例えば、「国内株式」は当月の基準価額が上昇(下落)すると、逆張りの売り(買い)によって当月の口数がやや減少(増加)しており、短期的な値動きを見て売買される傾向が見られた。また、「グローバル株式(ヘッジなし)」や「複合」は、前月の基準価額が上昇(下落)すると、順張りの買い(売り)によって当月の口数が若干増加(減少)しており、「国内株式」よりも長めの期間でトレンド追随型の投資スタンスで売買されている傾向が見られた。そのため、ファンドの分類によって投資家の売買のスタンスが異なっている可能性が考えられる。

日興リサーチセンター 資産運用研究所 ファンドアナリストグループ
野澤 光希
AI とマシンラーニング(機械学習)による株式投資戦略

AI で株式投資戦略を立てる方法を説明する。予測方法として、(1)テクニカル分析の理念である株価変動パターンに焦点を当てる、(2)従来のクオンツ分析の基本となる要因に焦点を当てる、の2 種類について紹介する。もともと、AI と機械学習は異なる概念だったが、最近は同様に用いられている。機械学習は人間の脳の機能を模倣するアルゴリズムで、一般的には①教師なし学習、②強化学習、および③教師あり学習の3 種類がある。学習とは、データをうまく説明できるモデルを見つけることを意味する。
 将来の株価を予測するには、画像認識や翻訳とは異なり、どのデータを抽出するかが重要になる。価格や量などの市場データ(テクニカルデータ)と、GDP や利益などの経済・金融データ(ファンダメンタル)であり、猫の画像や「This is a pen.」の英文(翻訳)と違って、事前に特徴がわからない。
 予測の手法は「時系列予測」と「断面予測」の2 種類がある。時系列予測は、単一の株式に焦点を当て、履歴データから将来のリターンを予測する。一方、断面予測はすべての株価に焦点を当て、いくつかの基準で高いスコア(=データと株価が連動する)の株式を検索する。
 時系列予測は絶対リターンを予測することが目的で、投資期間は短期(月単位より短い)の場合が多い。断面予測では相対的なリターンを予測し、投資期間は長期(月単位より長い)の場合が多い。

野村アセットマネジメント
資産運用先端技術研究部
リサーチフェロー 中川 慧
一目均衡表による世界の主要株価指数の予測分析

 一目均衡表は細田悟一氏(1898 ~ 1982)が長年の金融市場の研究を通じて開発した相場分析手法である。細田氏の没後40 年近く経た現在でも、市場分析や取引を行うための有効なツールとして、トレーダーや投資家、分析者に広く親しまれている。最近では、アジアを中心に世界中でも「Ichimoku」が普及し始めているが、効果的には活用されていないようである。なぜかというと、一目均衡表は、「価格予測」「時間予測」「波動分析」など、多面的な市場分析の原理・手法が統合されたものであるため、完全にマスターするのが非常に困難だからである。当然ながら一目均衡表には原著が存在するが、海外で扱うには言語の大きな壁に遭遇する。欧米人にとっては、日本語はさまざまな意味で厄介な言語である。日本語の語彙は英語とはまったく異なり、文法構造もまったく異なるため、日本語から英語への翻訳は非常に難しく、原著で使われている日本語の適切な英訳を見つけるのも困難だ。そこで、筆者が2019 年に開催されたIFTA カイロ大会で発表した内容をベースにしたものを以下で紹介する。原著に書かれている日本語を平易な英語に翻訳したものを利用し、さらに関連する理論を加え、2020 年発行のIFTA ジャーナルに寄稿したものからの抜粋となる。すべてを掲載すると相当な分量になるため、一目均衡表の基本的な一部の見方と当時のNY ダウ、上海総合指数、エジプトの主要指数であるEGX30 を予測分析したもので構成している。

DZH フィナンシャルリサーチ
チーフストラテジスト
東野 幸利
寄稿論文 トレンドラインと移動平均の関係の考察から

筆者は本論文で、私たちテクニカルアナリストにとって、あるいはテクニカル分析を愛する者にとって、最もなじみがあると思われる移動平均とトレンドライン、その両者の売買ルール、両者の関係を考察し、そこから得られた売買ルールを論じた。最近はパソコンやインターネットが発達し、より多くの複雑なテクニカル分析を簡単に見ることができるようになったが、移動平均とトレンドラインは、テクニカル分析の世界においてなお偉大なるスタンダードであり、その長所はシンプルの魅力だと考える。

EF&C 代表取締役
加藤 光敏
インタビュー 「証券ビジネス ✕ デジタル」で描くグレート・プラットフォーム戦略 東海東京フィナンシャル・ホールディングス
代表取締役会長 石田 建昭

 
◆Vol.7 2020年6月発行

懸賞論文 佳作 モメンタム指標の再定義

過去数カ月間のパフォーマンスの良かった株式が、悪かった株式をアウトパフォームするという現象がモメンタム効果であり、市場の効率性に反するアノマリーとして広く知られている。モメンタム効果は、世界の株式市場や業種全体にわたって観測されることが実証分析によって報告されている。しかし、日本の株式市場では、世界各国で観測されるモメンタム効果が例外的に観測されないことから議論になってきた。本論文は、日本の株式市場を対象としてモメンタム効果を再考察し、モメンタム効果をより効率的に捉えるための新たな投資指標を提案することを目的とする。本論文では、株式市場においてラグ 1 カ月 12 カ月累積リターンがプラスである銘柄の割合が大きい局面では、日本の株式市場でもモメンタム効果が観測されることを確認した。また、ラグ 1 カ月 12 カ月累積リターンの絶対値を、モメンタム効果をより効率的に捉えるための投資指標として提案する。このラグ 1 カ月 12 カ月累積リターンの絶対値は日本の株式市場だけではなく、その他の国の株式市場でも有益な投資指標である可能性を確信した。

広島修道大学
准教授 岩永 安浩
(Master of Financial Technical Analysis)合格論文(邦訳) 三角保合いの構成要件と 「孕み足」 及び日本市場の特徴について

私の言葉を信じて商いをして下さった方々に儲けていただきたい。そしてシンプルでだれにでも分かりやすく、受け入られやすい法則を見つけ出したい。と考え始めたことがこの論文を書くきっかけだった。テクニカル分析の最終目的は、儲けていただくことにあると考えている。そして、お客様に信じて商いをしていただくためには、シンプルでだれにでも分かりやすいものでなければならないとも考えている。テクニカル分析にはトレンド系分析やオシレーター系分析など様々な分析手法があるが、視覚から主にうったえかけるパターン分析、その中でも頻繁に示現する三角保合いが最適と考え、採り上げた。そもそも三角保合いの定義は何か? 三角保合いを形成する際に株価は上昇・下落をしながら推移していくが、上下幅が大きいときもあれば、小さいときもある。保合いをブレイクした後の値幅はどの程度期待できるのか? もっとこの三角保合いの意味することを知りたくなった。

岡三にいがた証券
齋藤 精
寄稿論文 暗号資産の異常ジャンプ検知による分散投資

本稿では、新しいアセットクラスである暗号資産に対してテクニカル分析の有用性を検証した。テクニカル指標として代表的なボリンジャーバンドを参考にし、価格データではなく変化率に着目したヒストリカル・ボラティリティを算出する。このボラティリティを超える変化率を異常ジャンプとみなし、その直後の修正を見据えて逆張りポジションを取る。約30種の暗号資産について運用したところ概ね 6 割の勝率を得たが、個別資産の運用では収益が安定しない。そこで全暗号資産について分散投資を行うことで投資機会を拡大し、収益を安定化できることを示す。なお付録として、暗号資産のヒストリカルデータを取得する Python プログラムを示した。本稿を通じてテクニカル分析の可能性が広がれば幸いである。

茨城大学大学院 理工学研究科教授
鈴木 智也
茨城大学 複雑データサイエンス研究室
玉城 玲奈
歪度・尖度を用いた売買手法、 SKURTシグナルの考察 ~日経平均株価 30 年間におけるトレンドとの比較~

本論ではSKURT(スカート)シグナル」という手法を考案する。SKURT とは筆者による統計用語の SKEW(歪度)+ KURT(尖度)からの造語である。CBOEが提供するSKEWIndexは、S&P500 を対象とするオプション価格のデータを使用して市場の歪みを数値化した指標である。SKEW は、 価格が安い方または、 高い方のどちらに偏っているのかという方向性を測定する指標として用いることができる。一方、 KURT は価格の分布が集中または分散しているのかを示す。分布が集中していればトレンドが明瞭であることを示唆し、 分布が分散していればトレンドが不明瞭なことを示唆している。言い換えれば、 KURT はトレンドの有無を測定するための指標となろう。本論では、 この2つの異なる統計的尺度を組み合わせた売買シグナルを生成し、 日経平均株価の30年分の日次データをもとにホールドをトレンドとして SKURT の買いと売りを組み合わせた絶対リターンの有意差を検証した。

みずほ証券
中島 三養子
初心に戻り移動平均線を使った戦略投資法を再考!

みなさんも投資を始めた頃は、ロウソク足の動きや移動平均線とロウソク足との動きを見ながら慎重にトレンドの有無や強さを分析しながら投資していたのではないだろうか。しかし、徐々にモメンタム系のオシレータの便利さや簡単さを知ってくると、ロウソク足や移動平均線の分析は二の次になり、オシレータの買われ過ぎ ・ 売られ過ぎだけでトレードするようになった投資家は多いと思う。しかし、明確なトレンドが発生している時は、モメンタム系のオシレータは買われ過ぎ ・ 売られ過ぎのシグナルを出しながら高水準 ・ 低水準に張り付き過熱感を出しながらもトレンドが継続するため、大きな損失につながりやすい。

株式会社フジトミ
米倉 教公
順張り系オシレーター「ランダム・ウォーク指数」を極める

新しく考案された手法の多くは、指標が一定の範囲で往復するように推移するオシレーターである。オシレーターは、元々は価格推移の転換点を検知するために考案された方法で、買われ過ぎ、売られ過ぎを判別する。そして、売られ過ぎなら買い建て、買われ過ぎなら売り建てる逆張りに用いられることが多かった。しかし、新しい手法の中には、トレンドの発生と消滅、あるいは勢いの強まりと衰えを検知するものもある。これらでは、トレンドの発生や強まりを検知したら買い建て、消滅や衰えを検知したら売り建てる順張りに用いる。もはや、「オシレーターは揉み合い相場で逆張りに使うもの」という考え方は成り立たなくなってきた。

日本テクニカルアナリスト協会
古城 鶴也

 

◆Vol.6 2019年6月発行

(Master of Financial Technical Analysis)合格論文(邦訳) 価格変動における新値の更新回数によるマーケットの転換点の規則性

研究の焦点として、投資家が売買のタイミングを計るため,転換点(定義した表示期間内の最大値、最小値)から転換点への価格変動における新値(新高値、新安値)の更新回数の規則性を検証する。具体的な調査方法として、まず定義した算出方法で価格の転換点を求める。次に価格が転換点から転換点へと変動する中で新値を更新する毎に1つずつを加えた累積数を算出する。最終的にその数の規則性を導き出します。特性が異なる2つの対象指数で検証、日経平均株価指数と為替米ドル/円のそれぞれ日足、週足、月足とする。補足には転換点から転換点の騰落率を求め、新値の累積数との相関性も検証する。これらの検証の結果、ある数字の規則性で繰り返しマーケットが転換点を迎えていくことが証明することができれば売買のタイミングを計る際の優位性を高めることができる。加えて転換点を結ぶ騰落率と新値の更新回数との相関性を実証できれば更に優位性を高めることができる。これらの仮説の検証の元、研究結果を導き出していくこととする。

株式会社青山財産ネットワークス
岡本 教孝
講演要旨
IFTAマレーシア大会2018
How to Develop Systematic Trading Strategies by Variable CycleMoving Averages(VCMA)

Variable Cycle Moving Average(VCMA)とCredibility Strategy Allocation(CSA)を利用した、「単純かつ役に立つ」投資戦略を紹介します。

インテリジェンスユニットLLC
新見 明弘
“X-jiku” 分析 一目均衡表の“ 時間論”とサイクル分析を用いた分析手法について

“X-jiku”分析のコンセプトと応用例を紹介します。

岐阜信用金庫
酒井 慶喜
Application of the Elliott Wave Analysis to Japanese Stock Indices and Other Key Markets

IFTA大会3回目のプレゼンです。今回は日本や他の主要マーケットについて最新の長期展望をお届けします。

三菱UFJ モルガン・スタンレー証券
宮田 直彦
寄稿論文 株式の市場動態を計測する新規指標について

有価証券投資においては、適切な投資対象を選択することと、適切な投資タイミングを選択することが肝要だが、投資タイミングの判断においては、価格の動向、需給の動向、そして投資者心理の動向に留意する必要がある。これらを知るために、先人が開発した様々な手法があるが、今回、計算が簡便であり、かつ定量的な指標として、価格動向を計測する「価格トレンド指数(PTI:Price Trend Index)」、需給動向を計測する「需要トレンド指数(DTI:Demand Trend Index)」、投資者心理を計測する「市場動態指数(MDI:Market Dynamics Index)」を考案した。PTIは価格と時間の相関係数で、その大小によってトレンドの有無やトレンドの方向を知ることができる。DTIは売買高と時間の相関係数で、その大小によって物色の盛衰や先高期待の強弱を知ることができる。MDIは価格と売買高の相関係数で、価格が売買高を伴って上昇して人気化しているのか、売買が閑散の中で下落する人気が離散した相場なのかを知ることができ、ポジティブ・ダイバージェンスやネガティブ・ダイバージェンスの発生と消失も知ることができる。さらに、これらの指標を用いて投資を行った場合の損益について、過去10 年間の日経平均とその売買高を用いてシミュレーションを行ったので、その結果についても報告する。

日本テクニカルアナリスト協会
古城 鶴也
寄稿 システマティックトレーダーとフロアートレーダーの投資の極意
~カウフマン夫妻かく語りき~

2018年10月20日、21日に日本テクニカルアナリスト協会はペリー・カウフマン氏の講演を東京・大阪にて開催しました。講演会ではカウフマン夫妻によるパネルディスカッションが行われ、参加者から前もって送られた20の質問についてカウフマン夫妻の興味ある回答を聞くことができました。本稿では当日語られなかった60の質問に関するカウフマン夫妻の回答を翻訳し、セミナーに参加することができなかった会員、システマティックトレーディングを目指す投資家に提供します。カウフマン夫妻の長年の経験と実績に基づいた含蓄の深い言葉が、皆様の今後のテクニカル分析の理解と実践に役立つと考えています。

インテリジェンスユニットLLC
新見 明弘

 

◆Vol.5 2018年6月発行

懸賞論文
佳作
移動平均線の有効性検証とVCMA(Variable Cycle Moving Average)によるトレンド戦略

Steidlmayer、今日金融投資の分野においては人工知能やビッグデータ、行動ファイナンス等の進歩により、様々な情報を効率的に処理した投資戦略が開発されている。しかしながらそれらの手法の入力値として用いる情報の定式化と精度については十分な検証と改良が議論されているとはいえない。例えばテクニカル手法を人工知能の教師信号として用いる際においても、標準的な移動平均の期間を使用したトレードルールが採用されているケースが散見される。そこで当論文では投資戦略を構成する元となるツールの有効性検証として、移動平均のパラメーターの有効性について検証を行った。そして移動平均において恣意的に固定されたパラメーターを改善する適応型移動平均の一手段として、価格のトレンドサイクルに合わせて自動的にパラメーターを調整するVCMA(Variable Cycle Moving Average)を提唱する。

AIFAM アセットマネジメント
新見 明弘
MFTA合格論文(邦訳) 2017年“ジョン・ブルークス賞” 受賞
人工知能の集合知によるアルゴリズム運用

テクニカル分析の予測可能性および収益性の向上を目指して、3つのアイディアを導入した。第一に、複雑な株価変動内に隠れた法則性を自動検出すべく、伝統的な機械学習モデルの1 種であるニューラルネットワークを導入した。第二に、その予測力を高める工夫として集団学習法を適用し、予測結果の自信度を評価する新しいテクニカル指標(コンセンサスレシオ)を提案した。第三に、その自信度が高い銘柄を選択する枠組みとして2段階選抜法を提案した。これらの妥当性を評価すべく、日本および米国の約1000銘柄に対して4期間の投資シミュレーションを行ったところ、良好なパフォーマンスを得たので報告する。

茨城大学大学院理工学研究科
機械システム工学専攻
鈴木 智也
講演要旨
IFTAミラノ大会2017
歪度・尖度を用いた売買手法、SKURT シグナルの考察

本論では価格の歪度・尖度を用いた売買手法、通称「SKURT(スカート)シグナル」を提唱する。CBOEが提供するSKEW Index1は、株価の分布が増加または減少に偏っているかどうかを示す。前者は株価が上昇していることを示唆し、後者は下落していると示唆している。つまり、SKEW は、騰落の方向性を測定するための統計指標として使用することができる。一方、KURTは価格の分布が集中しているのか分散しているのかを示す指数である。分布が集中している場合はトレンドが存在することを示唆し、分布が分散していればトレンドが明確でないことを示唆している。言い換えれば、KURT は傾向の有無を測定するための統計指標として使用できる。本論では、これら2つの統計的尺度を組み合わせた売買シグナルを生成し、実際の取引の有効性を調査する。SKEWが株価の上昇を示唆し、KURTが傾向の存在を示唆すれば、買いシグナルとし、SKEWが株価の下落を示唆し、KURTがトレンドの存在を示唆している場合は、売りシグナルとした。SKEWにKURTを加えたシグナルが「SKURT」である。この手法を用いて14指数におけるSKURTの有効性を検証し、考察を加える。

みずほ証券 投資情報部
中島 三養子
Koki Volume Price Curves(KVPCs)

2017年10月に開催されたIFTAミラノ大会で、私が考えたテクニカル分析手法であるKVPC理論について発表しました。

SMBC 日興証券
野澤 光希
寄稿論文 日経平均株価の波動とサイクル 
― カギ足を利用した客観的な節目定義の試み ―

本稿では、カギ足のルールを用いて節目となる高値や節目となる安値を一意的に定義することが可能で、表計算ソフトのEXCELを用いて機械的にトレンドラインやサイクル、波動を描画できることを紹介する。また、機械的に節目を選ぶことにより、その時々の状況によってサイクルや波動の起点や終点を前後にずらす人為的な調整を行わなかった場合に、サイクル分析や波動理論のルールが成立しているかどうかについて検討した。その結果、サイクル分析では同時性の原則、比例性の原則については成立している可能性があるものの、調和性の原則については汎用性がない可能性が示された。また、短い周期の波動が複数集まって、より大きな波動が構成されていることが確認されたが、エリオット波動理論にあるようなフラクタル構造やエクステンションについては再検討が必要である可能性が示されたので報告する。

日本テクニカルアナリスト協会 理事
古城 鶴也
寄稿 IFTAミラノ大会2017に参加して

岐阜信用金庫 酒井 慶喜

 

◆Vol.4 2017年6月発行

懸賞論文
応募論文
深層学習を用いたカオス時系列解析によるテクニカル分析

本論文ではカオス時系列解析の枠組みのもと深層学習を組み合わせたテクニカル分析手法の提案を行う。カオス時系列解析では、まず時系列データを高次元空間に対して「埋め込み」を行う。そして埋め込んだ高次元空間における幾何学的な軌道(アトラクタ)を用いて予測や制御を行う手法である。したがって高次元空間上でのアトラクタの再現(関数近似)が予測には必須であるが、この関数近似に画像認識などの高次元データ解析で有効性が認められている深層学習を用いる。当該手法を用いて日経平均株価を対象に実証分析を行った結果、深層学習を用いたカオス時系列解析により作成されたシグナルは高い予測力と収益性を持つことが確認できた。

三井住友アセットマネジメント
中川 慧
日興グローバルラップ
今村 光良
損失抑制型アセット・アロケーション戦略について

1960 年代にウィリアム・シャープによって資本資産価格モデル(CAPM) が発表されてから、既に50 年以上が経った。その間に様々な改良を施されたアセット・アロケーション・モデルが開発され、近年では確定拠出年金・NISAの導入に伴い、個人の年金運用に対してもその理論的背景と投資手法が提供されている。しかしながら効率的市場仮説におけるリスク・期待収益の定義、そして有効フロンティアを前提とした最適化手法は、投資家の投資方針を必ずしも満たしているとは言えない。

AIFAM アセットマネジメント
新見 明弘
MFTA合格論文(邦訳) 2016年“ジョン・ブルークス賞” 受賞
マーケットプロファイルのエントロピー 
― 各先物市場でのトレンドデー検出の新手法 ―

Steidlmayer Dalton および他のマーケットプロファイルの著者は、「取引の寄付きから最初の1 時間における株価の動き(イニシャルタイムレンジ、以下IR)は、その日の株価動向を判定するうえで重要だ」と主張している。筆者はこの主張に同意するものの、実際の投資判断において、IRが提供する情報は過小であると考える。先物トレーダーにとっては、収益機会に繋がりやすい「トレンドデー」と呼ばれる価格騰落の大きい日にポジションを備えられることが望ましい。しかし、IR時間帯を過ぎて投資判断を行う場合、遅れをとりがちである。そこで本稿では、Steidlmayerの従来の発見をもとにトレンドデーの発生要件を定量化してトレンドデーを検出する新手法を提案する。これをEntropy of Market Profile、以下EMPと呼ぶ。EMPは、イントラデーの1日のマーケットプロファイルの面積をその高さ(騰落幅)で割って計算する。トレンドデーは、EMPの値が低い時に発生する傾向がある。EMPの値が3.0未満はおおよそ全体のEMPの分布の-1σ未満(<-1σ)であったため、EMP3.0未満(以下EMP2.0)をトレンドデーが発生したと仮定している。検証は、日経225先物、10年国債先物、金先物および原油先物の4つの市場で実施した。各市場においてEMP 2.0がどのような条件で発生したかを検証した。その結果、ローソク足の陽線・陰線に分けると、複数のパターンにおいてEMP 2.0の価格騰落と1 . 3 日前の価格変動との間に有意差が確認された。また、5日移動平均線の4つのトレンドパターンにおいては、EMP2.0が有意に発生する可能性が高いトレンドがみられた。総合的には、EMP2.0は日経225先物においては有意指標となりうると判断。他の3つの市場では再検証が必要となった。

みずほ証券 投資情報部
西村 三養子
講演要旨
IFTAシドニー大会2016
収益率分布の歪みを反映するボラティリティー統計量を組み込んだ新指標「Y レシオ(BPV レシオ)」を使ったトレーディング戦略及び市場予測

山田が開発した新テクニカル指標Yレシオ(BVP レシオ)についてIFTAシドニー大会2016で発表した。プレゼンテーションに使うデータおよび原案・資料の作成は山田が準備し、調整(最終資料の作成)およびプレゼンテーションは本間が行いました。

応用経済時系列研究会 理事
山田 雅章
東海東京証券 オペレーション本部 部長 前IFTA副理事長(アジア太平洋地域担当)
本間 晶
アベノミクス下における日本の株式市場のサイクル分析

今回のIFTAでの講演では、投資家心理・投資家行動の視点を重視し、あえて数式を使わず、実際の日本の株式市場にどのようなことが起こっており、またどのような視点を持ちながら投資・運用を行っていけばいいのかを個人投資家でもわかりやすい形で提起する内容としました。市場に構造的な変化が見られる中、ファンダメンタルズ分析や行動ファイナンス理論、アルゴリズム・AI、HFT・ヘッジファンドの運用など多角的・多面的な視点を身につけることはテクニカルアナリストにとっても今後、重要になってくると考えます。

東海東京調査センター
中村 貴志
寄稿論文 『米蔵風オプション戦略』テクニカル分析でオプションを征する!

一般的にオプションは難しいものと思われ、投資初心者は触ってはいけない金融商品のように思われている。今回そんな方々にどのような場面で、オプションを使えば良いのか、また、何をどのようにオプション戦略を使って行くのかを説明する。

株式会社フジトミ
米倉 教公
K チャート入門 -コンセプトから計算法まで -

Kチャートは、筆者が1990年に創案、1993年に完成し、1995年に公表した独自の手法である。1989年末に38,915円の高値をつけた日経平均は、3月には一時30,000円の大台を割り込み、10月には20,221円と前年末の半値近い水準まで下落した。この間、日々の騰落幅が大きかったために、多くの投資家が撤退時期を見誤り、大きく傷ついた。
そこで、筆者は大学時代に学んだt検定という統計手法を用いて、当日の価格が、前日までの一定期間過去の価格群と同じグループに属するか否かを判定することを思いついた。1990年当時はパソコン表計算ソフトの機能が貧弱だったことから、筆者はプログラムの自作を決断する。試行錯誤の末、完成したのがKチャートである。
日経平均、TOPIX、ダウ工業株30種平均、長期国債先物、ドル円為替の日足、週足、月足を用いた検証によって、Kチャートの有効性を説明した論文で、筆者はMFTA資格を取得した。
これまで、Kチャートの計算方法は公開されていなかったが、今回、EXCELのセル関数を用いて計算する方法と、VBAを利用してユーザー定義関数を作成して計算する方法について、ソースコード付きで詳細に解説する。

日本テクニカルアナリスト協会
理事 古城 鶴也
CMAP(シーマップ)~時価総額レシオ(C)と3つのテクニカル指標(MAP)~

資産運用の基本は、大負けしないことだろう。クルマの運転に例えるなら大きな事故は回避すべきだ。チャートは、「運用のシートベルト」といえる。正しく使えば、投資家の運用収益を向上させる補完ツールとなる。ただ、テクニカル指標は実際の値動きと売買シグナルのズレが生じ、収益機会を逃すことも少なくない。そこで、バリュー面とテクニカル面を融合させた、CMAP(シーマップ)を提唱したい。

みずほ証券
中村 克彦

 

◆Vol.3 2016年9月発行

懸賞論文
優秀賞
非線形共和分関係に基づくペアトレード戦略

論文では、非線形共和分関係の応用事例としてペアトレード戦略の提案を行う。先行研究や実務で従来スタンダードとされていた共和分性を用いたボリンジャーバンドによるペアトレード戦略では、ペアの均衡水準への調整過程は単純な線形関係であると仮定されている。しかし取引コスト等の摩擦が市場に存在することから、ペアの均衡水準からの乖離が小幅である場合と大幅である場合では、平均回帰のスピードが異なると考える方が自然であろう。このような回帰スピードの非線形性を捉えるため、ペアがEnders and Sikols[2001]によって提案されたTAR モデルに基づく非線形共和分関係を満たすと仮定する。そして回帰スピードが変化する閾値をトレードのシグナルとして使用することを提案する。実証分析の結果、従来のペアトレード戦略より効率性が向上することを確認した。

三井住友アセットマネジメント
中川 慧
懸賞論文
佳作
ローソク足の成立過程を探る

ローソク足は、始値、高値、安値、終値の4つの特徴的な価格をビジュアルに記録し、その推移を明確に表示するチャートとして世界で広く利用されている。しかし、その成立経緯については、日本における罫線の発展史を解説した「日本罫線史」にも明らかにされていない。そこで、国立(国会図書館「近代デジタルライブラリー」で公開されている書物を検索し、ローソク足に関連する記述の有無および内容を調査した。その結果、早坂豊蔵がローソク足の成立に大きく関与したと考えられ、ローソク足は本間宗久が考案した酒田足に由来するという俗説は誤りであること、ローソク足と酒田足が混同された経緯などが判明したので報告する。

日本テクニカルアナリスト協会 理事
古城 鶴也
懸賞論文
参考
株式市場の下げ局面におけるリスク指標と出来高の活用による売買の考察

株式市場の下げ局面におけるリスク指標と出来高の活用による売買の考察株式市場における5~6年程度のサイクルにおける下落局面を対象とし、日次損益の標準偏差を使ったリスク指標に出来高を加えて分析を実施。リスク指標と出来高は25日、200日の期間を使い、またリスク指標のベースとなる日次損益率も加えて、その特徴を活かした売買手法について考察してみた。株式市場の下落は景気後退につながるため、各国中央銀行の金融政策を中心とした対策が打たれ、下落を食い止めようとする動きが出てくることから、株価の200日移動平均線が下向きとなる下落局面では、似たような現象が発生することが予想される。本売買手法については今後も有効に機能するものと考える。

山形銀行 金融市場部
木村 正明
MFTA合格論文(邦訳) Contrail index

Contrail index は株価と出来高の変動幅のトレンドに加え、株価変動率のトレンドを考慮することで投資家の心理の変化を読み解き、売買のタイミングを計ろうとする指数である。この指数はまず、逆ウォッチ曲線と同様にX軸に出来高、Y軸に株価をとるKVPC(Koki Volume Price Curve)と名付けた出来高分析をとる。このKVPC だけでは売買のタイミングを探るのが難しいため、Z軸にはKVPCとの相性の良さから、J.W.Wilderによって作られたParabolic Time/Price System(以下パラボリック)を使うことにした。これらによって構成される3つの関数が3次元の座標上をまるで飛行機雲(Contrail)の様に動くことからContrail indexと名付けた。本論文では、Contrail indexを創った理由や、概要を理解していただくためにもまず逆ウォッチ曲線、パラボリックの説明をする。次に、なぜ、Contrail indexを創るに至ったのか、そしてContrail indexでどのようにして投資家の心理を読み解き、売買のタイミングを計るのかをKVPCとパラボリック各々で説明し、最後にContrail indexの概要を説明する。

SMBC フレンド証券
野澤 光希
恐怖指数を活用した投資手法 
~日経VIを活用した日経平均リバウンドの有効性~

本稿では、各「恐怖指数」とそれぞれの参照指数(VIXであればS&P500など)との相関の有無及び法則性、そして、その法則に基づき「日経VI」の変動を利用した日経平均の最適投資手法を検証した。その結果、「相関性」が明確に出るのは市場で言われている通り1ヶ月単位であること。日本市場発のクラッシュ(指数急落)が欧米市場に波及する可能性が非常に低いこと。「日経VI」が「25.0p」を終値ベースでつけた翌営業日に日経平均を買う投資手法が有効であることを確認した。

株式会社フィスコ
田代 昌之
講演要旨
IFTA東京大会2015
ニューラルネットワークの集団学習による価格変動パターンの自動検出および自信度の評価

本講演では、テクニカル分析の予測可能性および収益性の向上を目指して、3つのアイディアを導入した。第一に、複雑な株価変動内に隠れた法則性を自動検出すべく、伝統的な機械学習モデルの1種であるニューラルネットワークを導入した。第二に、その予測力を高める工夫として集団学習法を適用し、予測結果の自信度を評価する新しいテクニカル指標(コンセンサスレシオ)を提案した。第三に、その自信度が高い銘柄を選択する枠組みとして2段階選抜法を提案した。これらの妥当性を評価すべく、日本および米国の約1000 銘柄に対して4期間の投資シミュレーションを行ったところ、良好なパフォーマンスを得たので紹介する。

茨城大学工学部知能システム工学科
鈴木 智也
Algorithmic trading methodology in Technical Analysis(アルゴリズム・トレードのためのテクニカル分析)

1.最近の日本の株式市場について アルゴリズムトレードやHFT(高速売買/高頻度売買)を解説します。2.テクニカル分析に関する2 つの話題 ここでは、板(注文表)とアルゴリズムについて解説します。特にテクニカル分析でアルゴリズムをどう使うかについてです。3.これからの事について ここでは次世代のツールについて解説します。

株式会社シーエムディーラボ
尹 熙元
寄稿論文 米蔵(ヨネゾウ)風60 分足分析手法

投資を初めて間もない投資家は、日足を中心に相場を見ていることが多い。色々試してみると60 分足がある程度トレンドが取れ、なお且つトレンド変化によるストップロスも早く出せることで60分足を多用している。日足の動きを24分割することで、早くトレンドの変化が掴めることになる。要するに『ストップロスは早く』、『トレンドは出来るだけ大きく取る』方法として今回紹介する。

株式会社フジトミ 米蔵塾
米倉 教公

 

◆Vol.2 2015年9月発行

懸賞論文
優秀賞
金融市場のジャンプに対する反発を利用したテクニカル売買戦略 
~統計学的にも妥当なテクニカル分析の一例~

テクニカル分析の妥当性について様々な検証がなされているが、未だ明確な結論は得られていない。そこで本研究では、統計学的に妥当性を証明できるテクニカル売買戦略の実例を示す。この戦略のエッセンスとして、金融市場で突発的に発生する大変動( ジャンプ) に着眼し、実データ解析を通じて、ジャンプ発生直後の反応に明らかな偏り( アノマリー) が存在することを発見した。これは金融市場の予測可能性およびテクニカル分析の妥当性の源泉になるため、このアノマリーを利用した新しいテクニカル売買戦略を考案した。その後、実データを用いた投資シミュレーションによって本売買戦略の有用性を確認し、さらに統計的仮説検定によって、投資タイミングおよびポジション選択の両観点から統計学的にも妥当な売買戦略であることを確認した。

茨城大学工学部知能システム工学科
小泉 洋八・鈴木 智也(共同執筆)
懸賞論文
佳作
突発的な裁定機会を利用した共和分ペアトレーディング

本論文では、昨年度に提案されたBPVレシオの新しい応用事例として、ペアトレーディングに着眼した。BPVレシオは時系列データの突発的な大変動(ジャンプ)を検出するテクニカル指標であるが、本論文では2 銘柄間の価格差に適用することで、突発的な裁定機会(サヤ取りのチャンス)を検出した。類似の指標としてボリンジャーバンドが一般的であるが、BPVレシオにより突発的な大変動のみを対象にすることで、ペアトレーディングの効率性を向上できる。つまり収益性の高い裁定機会に限定し、だましの可能性を極力抑えることで、1取引当たりの平均利益額を最大化する運用方法を検討した。その結果、ボリンジャーバンドよりもBPVレシオを用いた方が、ペアトレーディングの効率性を向上できることを確認した。さらに、2銘柄間の価格差の平均回帰性を高めるために、共和分関係にある銘柄に厳選することで運用成績を向上できることも確認した。

茨城大学工学部知能システム工学科
鈴木 智也・成松 優(共同執筆)
2銘柄の値動きを活用した値下がりリスクへの対応

株式の売買戦略の立案においては、高い収益を望むこともさることながら、高くなくても安定した収益を求める戦略もありえる。最近は、よりいっそう市場の透明性の確保や、市場参入障壁を減らすことが求められるようになり、結果として、取引は分秒刻みが求められるようになり、逆にあふれかえる情報に分析が追いつかず振り回される事態も見受けられる。一方で、コンピュータの活用度が一気に増えて、ロボット取引に代表されるように、高度な取引モデルの開発と取引の自動化も大きく増えた。そこで、自動取引に乗りやすく個別銘柄の値下がりリスクを回避(ヘッジ)する手法として有名になった、ペアトレーディングの応用手法について述べる。具体的には、あまたの銘柄の中からのグルーピング手法による分類(サブドミナントウルトラ距離法)を用いた銘柄選びと、その銘柄の値動きと相反する銘柄の売買を、現物売買と空売りを組み合わせて、上げ下げ両局面でのさや取りを着実にこなすため、共和分と定常確率過程の平均回帰性を用いて、きめの細かい値下がりリスク回避(ヘッジ)するペアトレーディグ手法である。

宮野 安弘
懸賞論文
参考
株式のインデックス運用におけるリスク指標についての考察

中央銀行による金融政策への連動性が高くなっている日米株式市場を対象とし、リスク指標を活用した分析を試みた。リスク指標としては、日次損益率の標準偏差(Value at Risk の考え方に近い)、株価指数自体の標準偏差(時価の標準偏差に相当)、VIX指数(あるいは日経VI)の3つを用いた。また、トレンドとの兼ね合いを見るため移動平均線との比較を行い、期間についても25日と200日の値をそれぞれ算出。複数の指標および期間で比較、分析を行ったことにより、株式市場のサイクルにおける各局面(上昇局面、天井圏、下落局面、底値圏)での特徴と、主に中長期的なインデックス運用におけるテクニカル指標としての有効な活用方法の示唆が得られた。

木村 正明
米蔵(ヨネゾウ)風一目均衡表の考え方

一目均衡表については、様々な著書や一目山人こと故細田悟一氏のお弟子さん達により多くの投資家に広まってきました。私も投資を始めた20代前半から一目均衡表を使ってきた『いち投資家』でもあります。ただ、使っていて疑問に思ったり、どうすれば一目均衡表を使って、より相場に勝てるかを模索し工夫してきました。一目均衡表は「時間論」、「波動論」、「水準論」の三論を骨格として展開されていますが、今回は一目均衡表チャートを中心とした内容にしました。

株式会社フジトミ米蔵塾
米倉 教公
講演要旨
IFTAロンドン大会2014
Forecasting the Japanese Stock Market with the BPV Ratio Indicator

IFTAロンドン大会にて発表をしたスライドスライド、スピーチ文(英語)に補足を加えて発表内容を紹介します。

応用経済時系列研究会理事
山田 雅章

 

◆Vol.1  2014年7月発行

懸賞論文
優秀賞
Bipower Variationを用いた新しいテクニカル指標

価格変動におけるジャンプ(急落・急騰)を検出するボラティリティ指標としてBipowerVariationが知られている。本論文では、価格変動の状態を、ボラティリティ不安定期と規則的変動期の2つのグループに分類すべく、Bipower VariationとRealized Volatilityを組み合わせることで新たなテクニカル指標を構成した。この指標に従って、価格が規則的変動期に所属する期間ではロングもしくはショートのポジションを取り、価格がボラティリティ不安定期に入るとすぐさまポジションを解消し、規則的変動期に入るまでポジションを取らない、という売買タイミング戦略を立てた。本論文では、本指標の詳細を述べ、また、その有効性を確認するために実データを用いたバックテストを行ったところ良好の結果を得たので報告する。

茨城大学工学部知能システム工学科
鈴木 智也
文部省高エネルギー物理学研究所
山田 雅章
MFTA合格論文(邦訳) 2013年テクニカル分析における年間最優秀論文(ジョン・ブルークス賞)受賞
「バケ足」分析によるトレンドと天底の確認

ローソク足は情報量が多く、理論としての完成度も高く、多様な売買サインが存在している。しかし、どのテクニカル分析に対しても同じ事が言えるが、ローソク足分析において出現した売買シグナルが、すべて本物とは限らない。本論文で提案するバケ足は、トレンドの変化や時間の経過によって、足形が変化するという特徴を持つ分析手法である。バケ足は、ローソク足の複数分析が理論の背景にあり、複数のローソク足による多様な売買シグナルは、バケ足では単一化したパターンに集約される。相場は常に変動しており、価格情報は相場の局面によって重要度が変化する。バケ足は、過去のトレンドと現在の価格水準との関係で変化していく売買のバランスとマーケット心理の変化に着目した新しいテクニカル分析である。

岐阜信用金庫
酒井 慶喜
大引前時間帯別 上昇/下落価格差分析

本研究の目的は、オシレーター系のテクニカル分析ツールとして実証され、理論の裏付けがなされているストキャスティクスを取り上げ、その売買サイン等の視点を大引にかけて上昇、下落した株価の幅を日々累積し、「大引に近い日中の特定の時間帯の株価の動き」というオリジナルな視点を反映した「大引前時間帯別・上昇/ 下落価格差指数」(以下、上昇/ 下落価格差指数と呼ぶ。)に適用することで、「トレンドの変化」や「株価の割高・割安の判断」及び「売買タイミング」を捉える新たなテクニカル分析ツールとしての利用可能性を分析することである。

中村 貴司
講演要旨
IFTAサンフランシスコ大会2013
アルゴリズム・トレード世界におけるテクニカル分析の新しい方向性

本論文では、日本の株式市場に焦点を当て、(1)「アルゴリズム・トレードとは?」という疑問に答えながら、アルゴリズム・トレードとHFTの違いを明確に説明します。次に、(2)アルゴリズム・トレードを活かすための分析手法として、板(注文表)分析を紹介します。そして、(3)アルゴリズム・トレードの活用事例(シミュレーションの一例)を示しながら、テクニカル分析の新しい方向性について論じます。

シーエムディーラボCEO
尹 熙元
決定論的時空間テクニカル分析

本稿は、2013年10月に開催されたIFTAサンフランシスコ大会の講演内容に基づいています。発表に用いたスライドを日本語化して解説する。英語版は、研究室ホームページ(文末参照)にて掲載しています。

茨城大学工学部知能システム工学科
鈴木 智也


 

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