職業行為基準

テクニカルアナリスト職業行為基準

Ⅰ 前文

日本テクニカルアナリスト協会(以降本協会)は、昭和53年に発足以来、テクニカル分析のための技術の向上と、テクニカルアナリストの社会的地位の向上を目指して研究活動を続けてきた。

テクニカル分析(当初は罫線分析)が最初に誕生した場所は享保年間の米相場であったが、明治期に入って株式市場が開設されるとともに株式市場でも利用さ れ、技術的にはむしろ株式市場への応用によって大きく前進した。戦後は公社債市場を含む証券市場一般に活用の場を広げ、本協会が発足して昭和53年以降に おいては、為替市場、各種先物市場などでも活用されることとなった。今日では、広く投資市場一般において、不可欠の存在となっている。よって、テクニカル 分析の発展に合わせて、テクニカル分析の担い手であるテクニカルアナリストの専門機能が改めて問われることとなる。とくにテクニカル分析の場合には、論理 的、学問的に必ずしも立場が確立されていない一面があり、現状では、アナリストによって知識、技量に差があることも否定できない。

このような情勢のもとにおいて、本協会は、テクニカルアナリスト資格制度の導入を急ぎ、分析技術を高い水準で安定的に保つように体制を整備するととも に、専門職業に相応しい職業倫理の高揚をも合わせ図ることとした、「テクニカルアナリスト職業行為基準」の制定はその一環であり、この職業行為基準におい て、会員の職業行為の指針とすべき基本原則を直裁に示した。したがってこの基準は、会員の所属する業界の枠を越えて、テクニカル分析の全ての職務に共通す る基準として、自主的に尊重されるべきものである。

なお、この基準の適用範囲は本協会所属の全ての会員であり、以下の規定において「会員」とある場合には、本協会の検定会員、正会員、特別会員、名誉会 員、一般会員、準会員を指すものとする。また以下の規定において「テクニカル分析業務」とある場合には、各種市場における価格の推移について、トレンドを 想定したり、想定したトレンドの変局点を発見することに関する、全ての業務を指すものとする。

 Ⅱ 本文

  1. 会員は、テクニカル分析業務のもつ社会的役割に鑑み、誠実に職務を励行しなければならない。
  2. 会員は、互いにテクニカルアナリストの社会的信用および地位の向上に努めなければならない。
  3. 会員は、テクニカル分析の理論と実務を研鑚し、職務に相応しい専門能力を維持、向上させなければならない。
  4. 会員は、関係法令ならびに本協会の会則、およびここに定める職業行為基準を遵守しなければならない。
  5. 会員は、投資情報の提供、投資推奨を行うに当たっては、次の事項を遵守しなければならない。
    イ 合理的かつ十分な根拠に基づく分析に拠ること。
    ロ 事実と意見を明確に区別すること。
    ハ 投資成果を保証するような表現を用いないこと。
  6. 会員は、投資情報の提供、投資判断の作成に当たって他人の資料を利用する場合には、出所、著者名を明示するなど、慎重かつ十分な配慮をしなければならない。
  7. 会員は、自己の保有資産や個人的取引によって、業務の遂行を阻害しないように注意しなければならない。
  8. 会員は、未公開情報の取り扱いにおいて、信任義務、法令もしくは関係規則に違反しないように注意しなければならない。
  9. 会員は、テクニカル分析業務の依頼者である顧客に関する情報を、他に漏らしてはならない。
  10. 会員は、検定会員等の会員称号を使用する場合には、称号の権威と信頼性を損なわないよう配慮しなければならない。

 

職業行為基準の概要

1.テクニカルアナリスト職業行為基準は、本協会の会員規律に関する会則第9条3項の規定に基づいて制定され たものである。すなわち、同規定により、会員は、テクニカル分析業務の健全な発展を図るために専門能力の向上と職業倫理の高揚に努めなければならない(第 9条1項)とされ、またテクニカル分析業務を行うに当たっては、職業行為基準に定める事項の遵守(同3項)を求められる。

会則

(規律)
第9条 会員はテクニカル分析業務の健全な発展を図るため、専門能力の向上と職業倫理の高揚に努めなければならない。
(2)会員は、品位の保持に努め、会員としての信用と名誉を傷つける行為をしてはならない。
(3)会員はテクニカル分析業務を行うに当たって、職業行為基準に定める事項を遵守しなければならない。
また、会員がこの職業行為基準に違反したときは、会員懲戒事由の一つとなる(第10条1項)。

2.テクニカルアナリスト職業行為基準は、前文および本文で構成されている。前文にはこの基準が制定されるに至った背景は今日的課題、この基準が適用されるべき対象などについて、概括的に述べている。
また本文は、職業行為基準を項目的に定めている。その内容は、テクニカル分析業務を行うに当たって規範とすべきルール、投資情報の提供や投資推奨を行う についての行為基準、その他テクニカルアナリストが業務遂行上留意すべき事項について述べている。本文全体で定められた行為基準は、10項目に及ぶ。

3.この職業行為基準は、日本テクニカルアナリスト協会が、テクニカル分析が今日におかれている諸般の状況を慎重に審議の上、策定した。諸般の状況とは、 対象市場が株式市場、公社債市場、商品市場、為替市場などに広がり、多方面のアナリストが相互に乗り入れていること、また国際化が進展して内外のアナリス トが相互に乗り入れていること、通信手段の発展や統計手法の導入などから、分析技術が複雑、高度化していること、などである。また、基準策定に当たって は、日本証券アナリスト協会が策定した職業行為基準を参考にした。分析領域に重なりがあること、協会設立が先行していること、などが理由である。

この職業行為基準は、テクニカル分析をとりまく環境の変化に応じて、今後改善されるべきものである。