
1980年10月1日付の当協会会報創刊号の巻頭言に、初代会長の住ノ江佐一郎・愛知学院大学経営学部長(最終経歴)は以下のように書いています。
先年、証券100年というので、その記念のために、明治期の株式取引所創設いらいのわが国における証券関係の文献を調べてみようと発意して、約2,200冊におよぶ著書や編著を通覧した。このとき、このような貴重な文献がいまのままであると、散逸したり、紛失したりしわしないだろうかと案ぜられたので、いまのうちに適当な措置をとっておく必要があるとおもわれた。これらの文献の中に、罫線(テクニカル・アナリシス)にかんする文献がかなり多くみられたのと、明治期よりはるかに古い時代から世にあらわれていることが明らかになってきたので、同好の士に相談をもちかけてみると、みなその懸念をもっていた。それで、昭和52年3月25日に約20名の有志のひとびとが一堂に会したのである。この寄り合いが動機になって、今後の相互啓発や親睦の集まりをつくってはどうであろうかという強い意見が出されて、直ぐに、そのような会合の発起人会に切りかえられて、「日本テクニカル・アナリスト協会」という名称で発足させることとなった。かくて約10回の集まりを経て、昭和53年7月14日、創立総会を開いて、会則その他の取り決めを行った。(部分、原文のまま)
同じ巻頭言には当初の会員数は50名であったと記されていますが、1984年7月1日付会報の巻頭言では会員数が100名に達し、全米テクニカル・アナリスト協会(MTA)と提携したとも書かれており、順調に拡大していたことがうかがえます。当協会は、その名が示す通り、当初は職業としてテクニカル分析を利用する人々の会で、入会するには2名以上の理事の推薦が必要でした。1987年からテクニカル・アナリストを養成するため、社団法人金融財政事情研究会の主催で「テクニカル分析短期集中スクール」という金融機関の役職員を対象とした集中講義(当初5日間、その後3日間に短縮)を開講するようになりましたが、その後、約10年を経ても会員数は約300名と、増加のペースは緩やかでした。
1997年になると、国際テクニカル・アナリスト連盟(IFTA)はテクニカル・アナリストの技量水準を維持することを目的として1次レベルから3次レベルまで3段階に分かれた資格制度を始めました。当協会では同じ資格を日本語の試験で取れるようにIFTAと交渉し、1998年から同じ制度を始めました。そして、初級の1次レベルに合格すれば当協会に入会できることにした結果、会員数は急激に増加し、数年のうちに1,000名に接近しました。
その後、会員数の増加や、それに伴う協会の事務作業量も急拡大したことから、事務や会計の公明性を維持するために法人格を取得する必要があると判断し、2003年7月23日に任意団体を解散、NPO法人として新生再出発することになりました。
NPO法人は、趣旨に賛同する人すべてを会員として受け入れる必要があります。これに沿って、個人投資家などへも門戸を開放したことから、会員数は短期間で2,000名を突破するに至りました。
しかし、これを機に協会は、私的なプロフェッショナルの集まりから、テクニカル分析に興味を持つ人たちすべてのための公共性を持ち、継続性を求められる会へと大きく変化したといえます。例えば、講演会や研究会は、以前はプロが研鑽するための場でしたが、現在は正しい使い方を普及、啓蒙する場という役割も忘れることはできません。また、会員の所在地は、当初は東京に集中していましたが、現在は全国に広がっており、地方会員へサービスのあり方にも配慮が求められるようになりました。
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