岡田克彦, Ph.D.

関西学院大学大学院経営戦略研究科・教授
株式会社Magne-Max Capital Management CEO/CIO
Osaka, Japan

略歴

Washington University Olin School of Business MBA。神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(経営学)。1990年から92年までMorgan Stanley (New York / Tokyo)でデリバティブトレーダー、 1992年から4年間UBS Securities (Tokyo) で Arbitrage チームの責任者を歴任後、シンガポールでヘッジファンドHalberdier Capital Management を共同創業。2001年に株式売却するまでの在任期間中、Halberdier Fundは年率17%を超えるリターンを達成。その後ファンドはシンガポールで屈指の規模に成長した。学術研究における専門は行動ファイナンス。行動経済学会常任理事、日本経営財務研究学会評議員、公認会計士試験委員等を務める。マーケットに精通した感覚と、アカデミックな知見を橋渡ししながら、アルゴリズムの専門家と共に投資モデルを開発し,機関投資家に投資助言している。


講演要旨

グラフ理論を用いた相場の大底検知モデル

 本講演では株式相場の大底を検知するモデルを提案する。株式市場が大底を打って反転するのを目の当たりにした時,「マーケットの総悲観は絶好の買い場」だと誰しもが感じることであろう。しかし,目の前で相場が暴落しているときに,買い注文を出すのは容易ではない。そこで今回は,相場の大底を捉えるシグナルを,グラフ理論を援用して算出する手法を紹介する。  グラフとは,「つながり方」に着眼して抽象化された「点とそれらを結ぶ線(グラフ)」の概念であり,グラフが持つ様々な性質を探求するのがグラフ理論である。本講演では,銘柄間の相関関係をグラフで表現し,そのグラフ密度を調べることで「大底」シグナルを発するモデルをもちいる。過去の日本株式市場で検証したところ,グラフ密度に依拠した大底シグナルは大変有効で,「総悲観」の状況をうまく捉えていることがわかった。